浸透する「伝統」への再認識
合掌造りのような古い家に住みたいという人達が増えてきた。これはこれで回帰現象かもしれないが、マスコミによる度重なる報道の影響もあるだろう。しかし、そういう伝統的な民家の良さがわかる人が増えてきたということは、ある意味でエコスマートなことかもしれない。
つまり、材料の良さ、作りの良さがわかる人達が出てきてくれたおかげで、本物の家づくりを手がける職人や住宅会社にとっては、ある一種やりがいが生まれるからだ。
合掌造りの民家をおとづれたのをきっかけに大工に転職したという工務店社長杉浦さんはこう言う。
「実際、住んでみると欅の太い柱を使った家というのはなんとも気持ちがいいし、落ち着きます。これは日本の風土から生まれて、何百年もかけて磨きあげられてきたからなんでしょう。」
こういう伝統の力というのは、かつて景気が良かった頃の日本では、‘古臭い’といって軽く見られるところがあったが、長引く不景気と本物志向の時代になると、やっぱり‘すごい’と見直されるようだ。
◆伝統の力というのは馬鹿にならない
古いから残そうとか貴重だとかそういうことではなくて、伝統が伝わっていることには「わけがある、すごさがある」ということなのではなかろうか。10年、20年ではわからないが、50年いや100年ほど経過した時にはじめて、昔の人の知恵に感服することは身近に多くある。
シックハウスの問題でもそうではないか。新建材やいろいろな化学製品を使った家に住むと病気になることはすでに明らかになっている。シックハウス症候群という言葉は真新しい言葉ではなくなった。
そもそも、新建材や化学製品を使った家というのは、言ってみれば、最新式の最先端の住宅としてデビューし、一気に広まった。ところが、この最先端と思った住宅はデビュー後30年ほどしないうちに病気を引き起こす家、環境破壊にもつながる家とされてしまった。
これに対して、今まで古臭いと思っていた木と土の家が案外良いものではないか、と見直されてくる。まさに、エコハウス、自然派住宅、エコリフォーム、民家の再生などはこうした現れであろう。長い時間をかけて受け継がれてきた良さ、先人の知恵は恐ろしいほどすぐれていたと再認識した方は多いのではなかろうか。
合掌造りなどの古い民家というのは、何百年とたっている。もしかすると古臭いだけでなくて、やはり良いものなのではないかと、素直な目で見直していただければと思う。「伝統」というのはなにかしら受け継がれてきた「理由」があるのだから。
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