グリーンジャパン理事長・中野博のWebトーク 「エコリッチ マラソン」
地球の未来の話をしよう!
日本の森林は財宝だから、狙われている(2011年12月23日)
日本の森林は“財宝”の眠る場所
Co2の吸収源など日本の森林の価値は70兆円!
世界で山林の評価が高まりつつあることを踏まえ、日本国内でも将来の排出枠確保に向けた山林購入に踏み出す企業が現れ始めた。
2年ほど前に、住友林業は最大で20億円を投じ、社有林の面積を現在の4万ヘクタールから5万ヘクタールまで広げる計画を打ち出した。同社は古くから林産業を生業としてきたが、新たな山林の獲得は約30年ぶりのこと。
日本ではまだ排出量取引制度がスタートしたばかりで、傘下企業も鉄鋼や電力など温暖化ガス排出の多いセクターが中心で、まだ試験的な導入時期。そのため、排出量取引が浸透しているEUなどと比べると、まだ山林所有に対する評価は低い。
日本は森林が国土の約67%を占め、面積にすると2510万ヘクタールに及ぶ。林野庁はCO2吸収や表面浸食の防止、水質の浄化などの価値を総合的に判断すると、全国の森林の価値は年間約70兆円と試算する。まさに森林は莫大な“財宝”が眠る場所なのだ。
現在、三井物産は国内に約4万4000ヘクタールの森林を所有しているが、温暖化ガス削減で年間22億円、全体で1200億円の価値が生まれると試算。一方、山林や農地は、温暖化ガスを吸収する対象としてだけでなく、有機物を分解して炭素を“ストック”する土壌としても注目を集め始めている。
山林や農地の炭素ストック量は、大気中の炭素の2倍以上であり、植物の炭素の約4倍だという。日本の農地では、表層30センチに水田で約2億トン、畑で1.6億トンなど、計4億トン近い炭素ストックがあると試算されている。これは現在農作物が生産されている“活きた”農地の話で、耕作放棄地などの遊休地には当てはまらない。
日本の耕作放棄地は40万ヘクタール(埼玉県の面積に相当)程度とされるが、これを木炭やたい肥を使って土壌を改善することで、さらに膨大な“炭素ストック”が生まれる。農林水産省では、農地の土壌改善で年間800万トン程度のCO2が削減されるほか、炭素ストックの増加も見込めるため、現在は不動産のようにインターネット上で農地の売買・仲介ができるシステムを構築中だ。
(次号へつづく)
【森林の公益的機能の評価額】
森林の持つ多面的機能 評価額/年(全国)
CO2吸収 1兆2391億円
化石燃料代替エネルギー 2261億円
表面浸食防止 28兆2565億円
表層崩壊防止 8兆4421億円
洪水緩和 6兆4686億円
水資源貯留 8兆7407億円
水質浄化 14兆6361億円
保養(自然風景を鑑賞することを目的とした旅行に関してのみ試算) 2兆2,546億円
『グリーンオーシャン戦略』中野博著(東洋経済新報社)1,680円

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